研究部会関連
獣医神経病学会「脳脊髄液検査のガイドライン」
現在、獣医療域においても、中枢神経疾患を診断する上で CT や MRI による⾼度画像診断が普及しつつある。しかし、これらの画像診断を駆使しても診断が困難な症例や炎症等を疑い鑑別を⾏いたい時には、脳脊髄液(CSF)の分析が有効なことがある。
CSF 検査は、神経疾患を診断するための重要な検査のひとつであり、⼀般的な検査と対⽐するのならば、CSF 検査は「⾎液検査」に相当する検査と⾔える。
CSF 検査は、特殊な機器を必要としないために、いずれの診療施設においても⾏うことが可能である。しかし、獣医療域では、CSF 検査を⾏って「何が」、「どこまで」診断可能であるのかに関する情報が少なく、全⾝⿇酔が必要なことや合併症の危険性があるという理由から、ほとんどの施設で⾏われていないのが現状である。また、CSF 検査を⾏う施設によって検査⽅法や項⽬が異なるという問題点も存在している。
そこで、獣医神経病学会では、CSF 検査の⽅法を画⼀化させ、施設間における⽐較を可能にするために、ガイドラインを策定した。
本ガイドラインが⽇常の診療、そして学会発表や論⽂投稿の参考になることを期待している。
2010年8月
獣医神経病学会研究部会・委員
枝村一弥、齋藤弥代子、松永悟、長谷川大輔
獣医神経病学会「神経学的検査シート」
このたび獣医神経病学会 研究部会では、東京大学、日本大学、麻布大学、日本獣医生命科学大学の神経科で実際に使用されている神経学的検査シートを持ち寄り、麻布大学のシートを基に協議・修正を行い、統一版「神経学的検査シート」を作成しました。
本学会として、この神経学的検査シートの使用を推奨します。
皆様方の診療に役立てていただければ幸いです。
本シートはA4版2ページで構成されています。A3見開きやA4裏表で印刷していただくと便利です。なお、開業医向けと教育機関向けの違いは、各検査項目に英語が併記されているか否かのみであり、内容は同一です。
2003年11月
獣医神経病学会研究部会・委員
枝村一弥、齋藤弥代子、松永悟、長谷川大輔
初版作成:2003年
改訂版発行:2014年
神経学的検査シートver.2014(開業医向け・日本語表記のみ)
神経学的検査シートver.2014(教育機関向け・和英併記)
国際獣医てんかん特別委員会(IVETF)コンセンサスステイトメント
獣医領域におけるてんかんの定義・分類・用語・治療ガイドライン・治療成績の評価法などは、これまで国際的に十分に統一されていませんでした。
この状況を改善するため、2014年にヨーロッパ獣医神経病学専門医(ECVN)を中心に、ACVIM神経専門医、臨床獣医神経科医、神経科学者、神経薬理学者、神経病理学者からなる 国際獣医てんかん特別委員会(International Veterinary Epilepsy Task Force, IVETF) が設立されました。
委員長はロンドン大学 Royal Veterinary College の Dr. Volk です。
2015年には、犬猫のてんかんに関する7本のコンセンサスステイトメントが、オープンアクセス誌 BMC Veterinary Research に公開されました。
2016年からは、初期メンバーに加え、日本から長谷川大輔先生(日本獣医生命科学大学)と齋藤弥代子(麻布大学)が正式メンバーとして招聘されています。
これに伴い、IVETFから「コンセンサスステイトメントを日本の獣医療関係者にも広く周知して欲しい」という要望を受け、この獣医神経病学会ホームページを通してIVETFコンセンサスステイトメントの邦訳を順次公開することとなりました。
この邦訳は閲覧、ダウンロードは無料であり、獣医神経病学会員以外の方も自由にご利用いただけます。
ただし無断で他書への転用,掲載,複製はご遠慮下さい。
必要に応じて長谷川・齋藤までご連絡下さい。
また本論文を文献引用する場合は原著(英語)を引用下さい。原文(英文)はBMC Veterinary Research誌のサイトよりFree download可能です。
2016年
IVETF委員
長谷川大輔、齋藤弥代子
IVETFコンセンサスステイトメント邦訳担当
翻訳:濱本裕仁、湯 祥彦
監訳:長谷川大輔、齋藤弥代子
1.EDITORIAL(巻頭言)
2.伴侶動物におけるてんかんの定義,分類および用語に関するIVETFコンセンサスレポート
3.IVETFによるコンセンサス提案:犬におけるてんかんの診断的アプローチ
4.IVETFによるコンセンサス提案:ヨーロッパにおける犬のてんかんの薬物療法
獣医神経病学会ロゴ(2009.07.01)

雑誌「獣医神経病」
投稿規定
雑誌バックナンバー目次:Vol.1(1994)~Vol.10(2006)
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